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大阪高等裁判所 昭和59年(う)405号 判決 1984年11月28日

主文

本件控訴を棄却する。

当審における未決勾留日数中二二〇日を原判決の刑に算入する。

理由

本件控訴の趣意は、弁護人渡部繁太郎作成の控訴趣意書記載のとおりであり、これに対する答弁は、大阪高等検察庁検察官沖本亥三男作成の答弁書記載のとおりであるから、これらを引用する。

控訴趣意第一点(事実誤認の主張)について

論旨は、原判決は、被告人が被害者を殺害し、現金一〇万五〇〇〇円等を強取するとともに、同人に対する債務三九六八万四八〇〇円の支払いを免れて同金額相当の財産上不法の利益を得た旨認定したが、債務者が債権者を殺害することによつて財産上不法の利益を得たといいうるためには、相続人等右債権を承継した者においてこれを追及することが事実上不可能になるか、少なくともそれが著しく困難になつて、財物を強取した場合に比すべき財産上の利益の移転があつたと評価することができることを要するところ、本件においては被告人は被害者に対し多額の債務を負担していて何らの資産もなく、支払不能の状態にあつたばかりか、借受名義人を記入したカード、集金小票その他の被害者側に残された帳薄書類によつて、被害者側においても債権額を明確になしえたのであるから、被害者を殺害することによつて、被告人が前記金額相当の債務の支払いを免れ財産上不法の利益を得たことにはならず、原判決には、右の点において事実誤認の違法がある、というのである。

そこで、検討するのに、原判決は、債権者を殺害することによつて債務者が財産上不法な利得を得たといいうるためには、その殺害の結果、債権の相続人等これを承継したもの(以下「相続人等」という。)において、これを追及することが不可能になるか少なくともそれが著しく困難になり、財物を強取した場合に比すべき財産上の利益があつたと評価できることを要する旨の基本的見解のもとに本件の具体的事情を検討し、本件においては、被告人が架空名義を用いて被害者から金員を借り受けており、また、被害者が従業員を使用せず一人で金融業を営むものであつたため、被害者の死亡後その実態を把握していない同女の相続人において、右債務が被告人に帰属するものであるかどうかを判別することは著しく困難であり、右債務の履行を被告人に対して請求することは事実上不可能もしくは少なくとも著しく困難になつたと認めたうえ、結局、被告人は、被害者を殺害することによつて、当時同人に対して負担していた三九六八万四八〇〇円の債務全額についてその支払いを免れ、同金額相当の財産上不法の利益を得たと認めたものである。右の点は、原判文に照らして明らかである。

ところで、検察官は、債務者が債務の支払を免れる目的で債権者を殺害した場合でも、その結果債権の相続人等において、これを行使することが事実上不可能もしくは著しく困難になつたときでなければ財産上不法な利益を得たことにはならないとする原判決の基本的見解の当否を争うので、まず、この点について判断する。思うに、債務者が債務の支払いを免れる目的で債権者を殺害した場合において、右殺害の結果、債権の相続人等においてこれを行使することが不可能もしくは著しく困難になつたときは、債務者が、債権者による債務免除の処分行為を得たのと実質上同視しうる現実の利益を得たという意味において、財産上不法の利益を得たと認めうるのは当然である。しかし、債権者を殺害することにより債務者が財産上不法の利益を得たと認めうるのを、右の場合のみに限定するのは、やや狭きに失して妥当でない。なぜなら、たとえば、債務者が、履行期の到来し又は切迫している債務の債権者を殺害したときは、債権者自身による追及を絶対的に免れるだけでなく、債権の相続人等による速やかな債権の行使をも、当分の間不可能ならしめて、債権者による相当期間の支払猶予の処分行為を得たのと実質上同視しうる現実の利益を得ることになるのであつて、かかる利益を、刑法二三六条二項にいう「財産上不法ノ利益」から除外すべき理由は見当らないからである。かくして、当裁判所は、債務者が債務の支払いを免れる目的で債権者を殺害した場合においては、相続人の不存在又は証憑書類の不備等のため、債権者側による債権の行使を不可能もしくは著しく困難ならしめたときのほか、履行期の到来又は切迫等のため、債権者側による速やかな債権の行使を相当期間不可能ならしめたときにも、財産上不法の利益を得たと認めうるものと解する。これに対し、検察官は、債務者が債務の支払いを免れる目的で債権者を殺害し、債権者自身による債権の行使を事実上不可能ならしめたときは、そのこと自体によつて、財産上不法の利益を得たと解すべきであるとして、判例(最高裁昭和三五年八月三〇日判決・刑集一四巻一〇号一四一八頁)を引用する。しかし、債務者が債務の支払いを免れる目的で債権者を殺害し、これによつて債権者自身による債権の行使を免れたとしても、相続人等が履行期の到来後直ちに右債権を行使することに何らの支障を来たさないような場合についてまで、債務者が財産上不法の利益を得たと解するのは、明らかに広きに失する。もつとも、検察官引用の右判例及び最高裁昭和三二年九月一三日判決・刑集一一巻九号二二六三頁は、その主張に副うもののように理解できないではないか、これらは、いずれも、債務者が債権者を殺害することによつて債務の支払いを窮極的に免れることの確実な事案に関するものであり、債権の支払いを免れる目的で債権者を殺害しさえすれば、そのこと自体によつて常に必ず財産上不法の利益を得たことになるとの趣旨まで含むものとは解されない。

そこで、以上の見解に基づき、本件について検討するのに、関係証拠によれば、被告人は、被害者から、当初自己の名義で金員を借り入れていたが、その後、被告人の勤務先である近鉄百貨店の人で金の入用な人があれば貸してあげてもいいとの被害者の申出を奇貨として、架空人や無関係の第三者の名義を冒用し、あたかも、近鉄百貨店の関係者の借入れを自ら窓口となつて代行しているように装つて、架空人又は第三者の名義で被害者から金員を借り入れていたものであり、本件当時における被告人の被害者に対する債務のほとんどは、右のようなものであつたこと、被告人と被害者間の貸借については、正規の借用証書は作成されていないこと、被害者は、単身金融業を営んでいたもので、右貸借に関する詳しい事情を知る従業員等はいなかつたことなど、おおむね原認定に副う事実関係を肯認することができるが、他方、本件においては、被害者が金員の授受の都度各名義人別に作成していた集金小票(貸し渡した金額、年月日のほか、被告人を通じてのものであることを示す「近鉄百貨店関係」及び場合により「藪内」の各記載並びに元利金の一部が返済された月日と被害者の押印がある。)、被告人がかねて被害者に差し入れていた「念書預り連帯借用証」(近鉄百貨店従業員に対する貸付金は、被告人が一切責任を負うなどとするもの)、被告人が借入金の担保として被害者に差し入れさせられていた被告人名義の預金通帳、キャッシュカード及び印鑑、さらには、被害者が本件の三日前、被告人の同僚である大塚幸子との電話による会話を録音したマイクロ・カセットテープ(被告人が、返済の遅れた理由として、「同僚の大塚幸子が、借受人から集金した返済金を盗まれてしまった。」旨虚偽の弁解をした際、被害者が大塚に電話で問い正して、右弁解が虚偽であることを確認したもの)など、多数の物的証拠が被害者側の手に残されていることも、記録並びに当審における事実取調べの結果によつて明らかであつて(ちなみに、被告人は、債務の支払いを免れるためにはこれらの物件を被害者から奪うことが不可欠であると考えて、被害者を殺害して右各物件の奪取を図つたが、犯行現場から持ち帰つた鞄の中にこれらが入つていなかつたため、所期の目的を達しなかつたものである。)、以上の点からすると、被害者の死亡により債権を相続した長男小川俊治において、これらの証拠物件により、本件債務が借受名義のいかんにかかわらず実質的に被告人に帰属するものであり、少なくとも被告人が名義人と連帯してその責を負うものであることを立証することは、比較的容易であると認められ、被害者の死亡によつて計算関係の把握がやや困難となり権利の行使にある程度の時間を要する結果となつたことは否定し難いにしても、相続人による債権の行使が窮極的に不可能もしくは著しく困難になつたとまでは認められない。そうすると、これと異なり、被害者の死亡により相続人による右債権の行使が著しく困難になつたとし、被告人が被害老に対する三九六八万四八〇〇円の債務の支払いを免れて同金額相当の財産上不法の利益を得たものと認めた原判決は、右の点において事実を誤認したものといわなければならない。

しかしながら、記録によれば、本件当時、被告人は、被害者から債務の返済を厳しく迫られており、種々口実を構えては返済を一日延ばしにしていた一〇〇万円を含め、当分の間、一回当り一〇〇万円を越える高額の分割返済金を、一か月約四回の割で返済していかなければならない立場にあつたものであり、被害者を殺害することにより、履行期到来ずみの右一〇〇万円についてはもちろん、その切迫した爾余の分を含む本件債権全体につき、債権者側による速やかな権利行使を相当期間不可能ならしめたものと認められ、かかる場合もまた財産上不法の利益を得た場合にあたることは、すでに説示したところから明らかであるから、いずれにしても、その構成要件評価に変りはない。また、被告人が無資力で、本件債務の返済能力を全く有しないとみられる本件においては、債権者の相続人小川俊治が、被告人に対する本件債権の存在を立証したとしても、その回収に成功する可能性は事実上零に等しいのであるから、被告人が被害者を殺害したことにより、相続人の債権の行使を著しく困難ならしめたとみるか、これを相当期間不可能ならしめたに止まるとみるのかによつて、その犯情にさして重大な相違を来たすとも考えられず、後記のような諸般の情状に照らすと、被告人に対する原判決の量刑はなおこれを維持すべきものと認められるのでこの点に関する原判決の前記事実誤認は、いまだ判決に影響を及ぼすものとはいえない。論旨は、結局、理由がない。

控訴趣意第二点(量刑不当の主張)について

論旨は、量刑不当を主張し、本件については、被告人を有期懲役刑に処せられたい、というのである。

所論にかんがみ、記録を調査し、当審における事実取調べの結果をも参酌して検討するのに、本件は、原判決が、その「量刑の事情」の項において詳細に説示するとおり、生来金銭的にルーズな性格の被告人が、収入以上の生活をしたいため、夫に内緒でいわゆるサラ金に手を出し、その返済に窮して、架空人名義の使用等により順次借増しした結果、ついには四〇〇〇万円に近い高額の債務を被害者小川時子に対して負担するに至つたが、当面求められていた一〇〇万円の分割返済の資金の調達ができずに虚言を弄したところから、架空名義で借り受けていたことまで一挙に露見して激しくなじられ、被告人の夫に話すとか警察に届けるなどと罵声を浴びせられたため、ついに同女の殺害とその手許にある被告人名義の預金通帳等の奪取を決意し、自宅から刃体の長さ約一八センチメートルの先端鋭利な文化包丁を持ち出してこれを携えたうえ、返り血を隠すためにレインコートを着用して被害者方に至り、金策ができなかつたと聞かされた被害者が、警察へ提出する書類を作成するため被告人に背を向けて座つたままなんらの警戒の態度も示していないのに対し、背後から走り寄つて右文化包丁を同女の左背部めがけて一回突き刺し、同所において、同女を心臓左心室後壁刺通に基づく心のう血液タンポナーテにより即死させて殺害し、同女所有の現金一〇万五〇〇〇円及び預金通帳一〇通(預金残額五二万四四六九円)など在中の皮製手提鞄を強取するとともに、当分の間、同女に対する三九六八万四八〇〇円の債務の支払いを免れて、その支払いの猶予を得たのと同様の財産上不法の利益を得たという強盗殺人の事案である。ところで、強盗殺人罪は、強盗致死、強盗強姦致死などとともに、刑法犯中最も悪質・重大とされる犯罪の一つであつて、その法定刑は、死刑及び無期懲役刑以外にはなく、原判決は、所定刑中無期懲役刑を選択して処断しているので、所論のように、被告人を有期懲役刑に処するには、原判決の右刑種の選択を前提としたうえで、これをさらに酌量減軽しなければならないことが明らかである。そこで、以下、本件につき、法定刑の下限を下回る刑を言い渡すべき酌量減軽の事由が存するかどうかについて検討することとする。

本件につき、被告人のため有利に斟酌すべき事由としては、次のようなものがある。すなわち、

1  被告人は、被害者を殺害して金品を強取しようとしたのではなく、単に、債務の支払いを免れるために被害者を殺害したものであり、同じく強盗殺人罪といつても、財物強取目的によるそれと比べると、利欲犯的色彩はやや乏しく、また、被害者の殺害によつて得た財産上の不法の利益も、前記のとおり一時的なものにすぎないこと。

2  被害者の被告人に対する貸付けの条件は、年利率にすれば約一〇割にも達する高率で、本件当時被告人が同女に対して負担していたが約四〇〇〇万円の債務の大半は金利分であり、被告人が同女から現実に入手し自己の用途にあてた金額は、数百万円からせいぜい一〇〇〇万円前後に止まるうえ、被害者は、自己の債権の回収を焦慮するのあまり、被告人に対し、激しくその非をなじるとともに、被告人に対し湯呑み茶わんを投げつけたり、被告人が家庭生活の崩壊につながるとして極度に恐れていた夫や警察への通報の挙に出る態度を示すなどして、被告人にその返済を強く迫つていたものであつて、被害者のかかる態度には、貸付条件及び取立方法の両面において、問題とされるべき点があつたといわざるをえないこと(なお、所論は、右の点に関連し、被害者は、本件架空ないし第三者名義の債務が実質上被告人に帰属するものであることを知悉しながら、被告人の支払能力を無視した無理な貸出しに応じていたものであると主張し、原審及び当審公判廷における被告人の供述中には、右所論に副う部分もある。しかし、生前、被告人を通じて近鉄百貨店関係者に多数の顧客ができたとして喜んでいた被害者が、本件の直前に至つて、信用していた被告人に裏切られたとして落胆し、かつ、いたく憤慨していたことは、原審において同意のうえ取り調べずみの鍛治谷静枝、榊原明美、加治洋子、多田羅栄、小川俊治、小川キヌヨら多数の捜査官に対する各供述調書並びに押収してあるマイクロカセットテープ(当庁昭和五九年押第一六四号の二四六)及びその再生結果を記載した司法警察員作成の「被害者方から押収した録音テープの再生結果について」と題する書面によつて明認されるところであり、被害者のかかる生前の言動に照らすと、同女は、被告人を信用するの余り、被告人が自己との約束どおり、その勤務先である近鉄百貨店の関係者を現実に顧客として紹介してくれて、その借受けの窓口となつてくれているものと信じており、被告人が架空名義等を使用して自ら金員を借用しているとの事実に、迂闊にも気付いていなかつたと認めざるをえず、この点に関する所論は、これを採用することができない。)。

3  被告人が、第二次大戦の戦中から戦後にかけて多感な青春時代を過ごし、当時立命館大学の学生であつた夫幸一と結婚したのちも、乏しい家計をやりくりしてようやく子供二人を成人させた市井の一介の主婦であり、結婚生活の破綻を恐れるのあまり、被害者に対する高額の借金の実情を夫に内密にし、ひとり懊悩した末、本件犯行を決意するに至つたいきさつには、夫の家計への理解の不足の点とあいまつて、同情を惹く点がないとはいえないこと。

4  被告人には、これまでに何らの前科前歴はなく、一年三か月に及ぶ長期の身柄拘束生活を経て、その反省の情にはすでに相当顕著なものがあると認められること。

しかしながら、他方、本件については、原判決も詳細に説示するとおり、次のような被告人にとつてきわめて不利な情状を容易に指摘することができる。すなわち、それは、

5  本件は、すでに説示したような経過により、周到な準備に基づき冷静に実行された計画的な犯行であつて、同じ強盗殺人の事案でも、被害者の言動等に触発され激情にかられて敢行された偶発的な犯行とは、その犯情を相当異にすること、

6  犯行の手口は、このような事態を全く予想していない無警戒・無抵抗な被害者の背後から、確定的な殺意に基づき、鋭利な刃物でその心臓を一突きしてこれを即死させるというもので、卑劣・残酷といわれてもやむをえないこと、

7  被告人は、被害者を殺害したのち、遺体を引きずつて風呂場の浴槽内に運び込み、血痕を拭き取るなど入念な罪証隠滅工作をしたうえ、原判示各物件を奪取して平然と立ち去るなど、大胆不敵ともいえる行動に出ており、奪つた金一〇万五〇〇〇円もすでに費消ずみであること、

8  被害者は、当時まだ若く(四一歳)、いずれは身寄りのない老人のための老人ホームを建設しようという希望をもつて、貸金業を営んでいた女性であり、残された遺族らの悲しみと憤りにはきわめて強いものがあるのに、いまだその被害感情を癒やすべき何らの措置もとられていないこと、

などである。

しかも、ひるがえつて考えるに、被告人が、前記のような身動きもできないサラ金地獄に陥るについては、当初、長男の高校入学金の不足を夫に内緒でサラ金からの借入れに頼り、その返済が不能となつていつたん夫に発覚しながら、夫に全面的には真相を打ち明けず、債務の半額を残したまま中途半端な事態収拾を図つた結果、たちまちその返済に追われてまたもサラ金からの借入れに頼るようになり、そのころ被害者から借入れの勧誘を受けるや、かつての取引の経験からその取立の厳しいのを承知のうえで同女からの借入れをするようになつたという経緯があるのであり、しかも、このように債務の返済に追い廻される身でありながら、夫にすら一切事情を打ち明けることなく、日常生活においては必要以上の出費をあえてするなどしていた被告人の行動は、あまりにも安易かつ無計画であるといわざるをえず、被告人が苛酷な貸付条件のもとにおける被害者の厳しい取立に苦しむようになつた点については、身から出た錆といわれてもやむをえない面があるのである。また、被告人が、被害者の申出を奇貨として、架空人又は第三者の名義を冒用し、被害者から高額の金員をいわば騙取していたことは事実なのであるから、このことを知つた被害者が、憤激して被告人の非を強くなじつたのも、ある程度無理からぬことである。このようにみてくると、本件においては、被害者の側にも、貸金業者の行動としてたしかに問題と思われる言動があつたことを否定し難いが、この点も、被告人の本件犯行の動機に強い同情を抱かせるまでのものではないといわなければならない。

右の点に加え、被告人に不利な情状として指摘した前記5ないし8の諸点及び強盗殺人罪という本件犯行の罪質、その社会的影響、さらには、同種事案に対する量刑の実情等諸般の事情を併せ総合して考察すると、本件において肯認しうる、前記1ないし4を中心とした被告人に有利な情状をもつてしては、いまだ、法定刑の下限を下回る刑を言い渡すべき特段の情状ありと認めるに足りないというべきであるから、酌量減軽を施すことなく被告人を無期懲役刑に処した原判決の量刑が、重きに失して不当であるということはできない。論旨は、理由がない。

よつて、本件控訴は理由がないから、刑事訴訟法三九六条によりこれを棄却し、当審における未決勾留日数の算入につき刑法二一条を適用して、主文のとおり判決する。

(松井薫 村上保之助 木谷明)

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